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フィナンシャルプランナーの視点

EB債(他社転換特約付社債)

まずEB(他社株式転換特約付社債)の仕組みについて簡単に説明します。これは特定企業の株式について、あらかじめ決めた株価に対して償還時点の株価がどうなっているのかで償還方法が変わる債券です。償還期日の1週間前の株価が債券発行時に決めた価格(権利行使価格)以上なら現金で額面通りの金額が投資家に償還されますが、下回った場合には株式そのものが割り当てられる仕組みが一般的です。 リスクがある分だけ現金で償還されても株式に転換されてもかなり高金利の利息がつきます。日経新聞の広告で10%以上の金利が強調されている債券はこの仕組み債がほとんどです。

つまり私たちが得られる物は
  株価が権利行使価格以上  元本+決められた利息
  株価が権利行使価格未満  株券+決められた利息
になります。

もちろん株券の株数は最初に投資する時点で決められています。


 特に最近は昨年一気に上昇した情報通信関連株(ソニー、NTT、NTTドコモ、DDI等)を対象にしているEBが多かったのですが、4月からはこれらの銘柄は完全に調整局面に入っていますので、株価が権利行使価格を下回って、株券を投資家が手に入れるケースがほとんどになっていると思われます。

 少し前の日経新聞では「投資家は損失確定の売りを出す可能性が高い」とコメントしていましたが、私も同感です。特に株式投資をあまりしてこなかった人がEBを購入していた場合には、売却してしまう場合が多いでしょう。かなり高い授業料だったと言わざるを得ません。 逆に言うと実は情報通信関連の株を購入する絶好のチャンスをEBを購入してしまった人が提供している事になります。


  さてイマドキ、この様な高金利を提供できるEBの仕組みをちょっと解説しておきます。このEBは実はオプションのプット売りというポジションを取る事によって、高金利を実現しています。  オプション取引きについて簡単に説明しませんと、なかなか理解できないと思いますので、今回はオプションの仕組みを少し説明します。(ちょっと言葉で説明しても判りにくいと思いますので、説明は飛ばして、結論だけ読んでいただいても構いません)


 私たちが一般にオプションと呼ぶ言葉は、自動車を買うときのオプションでオートエアコンやカーナビが選べるとか、海外旅行で自由行動の時間に設定されているオプションのツアーに参加するとか、の様に使います。つまり車とか旅行の代金を支払った人が持っている「権利」の事になります。代金を支払った人は、その権利を行使してエアコンやオプショナルツアーを購入してもよいですし、権利を放棄して何もしなくても良い訳です。

 これと同じ様な仕組みが株式にもありまして、オプション取引きと呼ばれています。例えば、現在時価8000円のS社の株を将来のある一定の時期に、1万円で買う権利を売買する訳です。
 私がこのS社の株価はその時期に1万円以上になると考えたとしますと、この買う権利を買いたいと思いますよね。この権利を買った人はもしその時期に株価が1万円を超えていれば、その差額だけ収入が得られる事になります。この買う権利をコールと呼びます。
 コールを買った人は、その株が1万円を超えていれば、オプションの買う権利を行使して株式を買う事ができる訳です。すぐ売れば1万円とその差額だけの収入が得られます。この収入が、最初に権利を買う時に支払った手数料(プレミアムと呼びます。)より高ければ、利益が上がる事になります。
 もし株価が1万円に達していなかった場合は権利を放棄すれば、いくら株価が下がっていても、プレミアムを放棄すれば損失はそのプレミアムの金額に限定されます。(利益無限大、損失限定)


 このコールを買う人がいれば、逆に売る人がいなくてはいけません。コールの売り手は買い手とは全く逆の立場になります。株価が1万円以下だったらプレミアムは全部売り手が手に入れる事になります。株価が1万円を超えていたら1万円で株を売らなくてはいけませんので、市場価格より安い価格で株を売る事になります。もし株が暴騰した場合にはその差額の損失を被る事になります。(利益限定、損失無限大)

 逆に一定の株価で株を売る権利も売買されています。ある時期も株を売る権利をプットと呼びます。同様にプット買いは利益無限大損失限定、プット売りは利益限定、損失無限大の取引きです。

 EBはこの株を売る権利を売る(プットの売り)を利用した商品です。プットは株を売る権利ですので、一定期日になったら、1万円(権利行使価格)以下になっていたら1万円で株を買わなくてはいけません。その代り、確実にプレミアム代金はプットを売った時に手に入ります。

また株価が1万円(権利行使価格)以上だったら、プレミアム分だけは全て売り手が手に入れる事になります。このプレミアムが高い利率の源泉です。

(文章を書いていて、かなり判りにくい表現になってしまっていると感じています。ここまでは読み飛ばしても結構です。)


 結論を言いますと、プットの売りを利用したEBは、利益限定、損失無限大の商品です。もちろん、株券で戻ってくる確率はあまり高くはありませんが、もし株価が上昇している場合でも利益は限定されています。

この限定された利益は、オプションの仕組みで手に入れる事ができる訳です。

 EBの新聞広告で、利率15%のEB(他社転換債)とか出ていたらその償還期限に注意してください。15%と言うのは年率に換算した数字ですから、償還まで半年でしたら、実際に手に入る利息はその半分、3ヶ月でしたらその1/4になります。

 またEBの最も気をつけなくてはいけない事は、中途売却がほとんど不可能だと言う事です。利用しているプットの売りは、需要があれば通常市場で買取が可能です。ところがEBとなってしまうと、満期まで持っていなくてはいけません。

 この利益限定(しかも年率換算で判りにくい利益)損失無限大(途中で損切り不可能)と言った事から私はEBを買ってはいけない金融商品の筆頭に上げたいと思います。私だけでなく、他のFPの方のコメントでも、「EBはお奨めでない」という物ばかりです。そのうち真実が世間に浸透してくれば、淘汰される商品だと思っています。

 EBを買うくらいなら、その対象となっている株を、ミニ株を使って細かく売買する方が絶対に良いですよ。

 
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